フロレンティーノ・ペレス:「レアル・マドリードは困難な状況にもかかわらず、収益が10億ユーロを超えた世界初のサッカークラブになった」
「我々は最近14シーズンでサッカー29、バスケットボール27の計56タイトルを勝ち取り、この中には9回の欧州チャンピオンが含まれている」と会長はソシオ通常総会2024の開会式で話した
フロレンティーノ・ペレス会長がシウダー・レアル・マドリードのバスケットボールパビリオンで出席およびオンライン形式で行われたソシオ通常総会2024を開会した。レアル・マドリードの会長はDANA(集中豪雨)の犠牲者を追悼することから始め、最近1シーズンで亡くなったクラブ幹部のルイス・ブラスコ氏、1995年レアル・マドリードの副会長を務めたフアン・ミゲル・ビジャール・ミール氏、クラブ職員のルベン・ルエダ・フェルナンデス氏、ペーニャ会員のホセ・ルイス・ビセンテ・ガルシア氏、伝説的なGKでエル・ガトの愛称で親しまれたミゲル・アンヘル・ゴンサレス氏、元バスケットボール選手のホセ・ラモン・ラモス氏、フィジカルコーチのペペ・ポルトレス氏や複数のマドリディスタ、元選手、会長らを偲んだ。
「まず最近我が国で経験した最大の悲劇の一つでの犠牲者を追悼することから始めたいと思います。DANAの恐ろしい結果に苦しんだすべての人々にお悔やみと連帯の意を表します。被災された方々、特に亡くなった方の家族や愛する人たちに私たちの全力と愛情を捧げます。私たちは皆、特にバレンシア地域で起こったことに今でもショックを受けており、それを決して忘れることはありません。我々のエンブレムとユニホームは何百万人という人たちの心によってできています。我々は出身地、ルーツ、言語、文化、イデオロギー、宗教を超え同じ感情と我々のアイデンティティとなる価値観によってつながっています」。
団結
「今やレアル・マドリードは一つの偉大なる家族です。率直にこれが我々の偉大なる力だと考えています。ソシオの団結、我々全員の団結のおかげでここまで我々が達成してきた全てのものがもたらされました。我々はどんな逆境も乗り越えられるという信念と共に課題に立ち向かうことができる制度的な安定を築いてきました」。
伝説
「我々は、最近14シーズンでサッカー29タイトル、バスケットボール27タイトル、この中にはサッカーで6、バスケットボールで3、計9回の欧州チャンピオンという新たな黄金期を過ごしています。レアル・マドリードの伝説は最近数年でより大きなものになっており、パンデミックとパンデミック後の社会経済状況、国際紛争という非常に困難な状況の中で、このクラブが払った犠牲のおかげで可能となったものでもあります。そしてレアル・マドリードは、前に言及した困難な状況にも関わらず、収益が10億ユーロを超えた世界初のサッカークラブとなりました」。
スポーツプロジェクト
「レアル・マドリードにとって再びの歴史的な年になりました。ここに昨季と今季の最初に勝ち取った6タイトルのトロフィーがあります。サッカーでは通算15回目のチャンピオンズリーグ、36回目のリーガ、13回目のスペインスーパーカップ、今年夏にワルシャワで勝ち取った6回目のUEFAスーパーカップがあります。バスケットボールでは37回目のリーガ、29回目の国王杯、10回目のスペインスーパーカップがあります」。
「怪我はサッカー、そしてスポーツの最も悪い部分になります。しかしダニ・カルバハル選手とエデル・ミリトン選手は現在過ごしている難しい時期を素晴らしい形で乗り越え、近くピッチで本来の姿であるこのスポーツの2つの偉大なる象徴の姿を見せてくれるでしょう」。
「我らの指揮官であるカルロ・アンチェロッティ監督のことから話すことにします。獲得した14タイトルは、我々の歴史の中で最多タイトルを獲得したレアル・マドリードの監督で我々が敬愛し忘れることがないミゲル・ムニョスと同じです。レアル・マドリードの巨大な歴史の中でこのエンブレムとこのユニホームのためにすべてを捧げてレアル・マドリードでの時間を終えた選手たちに称賛と愛情と感謝の気持ちを表したいと思います。最初は我々のキャプテンであり、ロンドンでデシモキンタの優勝トロフィーを掲げたナチョ。わずか10歳でレアル・マドリードに加入し我々の偉大なるカンテラ選手の1人です。彼はチャンピオンズリーグ優勝6回という選ばれしグループの1人としてそのレアル・マドリードの時代を終えました」。
「トニ・クロースのような選手にお目にかかるのは非常に難しいことでしょう。彼は我々の歴史の中で最高の選手の1人で、世界サッカー界の偉大なる伝説の1人です。レアル・マドリードで23タイトルを獲得して引退しました。クロースは自身最後のチャンピオンズリーグを勝ち取り、レアル・マドリードの歴史で同優勝6回のヘントと並んで去って行きました。またホセルにも感謝しています。彼は心からのマドリディスタで、ベルナベウでのバイエルン・ミュンヘン戦で魅惑的な夜の主役を務めたことを誇りに持ち続けるであろうレアル・マドリードのカンテラ出身選手です」。
カンテラ
「カンテラはこのクラブの歴史とアイデンティティを理解するうえで本質的な部分です。なぜならここで我々の若者がレアル・マドリードの価値観の中で教育され、成長するからです。そしてこれが世界最高のカンテラであることを統計が明確に証明しています。現在プロサッカーリーグにいる191人がシウダ・レアル・マドリード出身。うち51人がスペイン1部リーグのチームにおり、84人が他国リーグ、56人がスペイン2部リーグにいます」。
女子サッカー
「アルベルト・トリル監督によって率いられている我らのチームは昨季リーガで準優勝し、4年で4回目となる女子チャンピオンズリーグ で戦っています。そして今週水曜にはグループリーグの2節を残してチャンピオンズリーグの準々決勝進出を決めました。我々の責任は女子サッカーの成長に貢献し続けるということです」。
バスケットボール
「サッカーと同じく、バスケットボールでも我々の歴史の中で最大の勝利者のサイクルを過ごしているというのは明白です。昨季はリーグ、カップ戦、スーパーカップという達成が非常に難しい3冠を経験しました。このチームは出場した4大会で決勝を戦いました。これはレアル・マドリードであらゆるものを勝ち取ってきた選手たちが勝利に飢えているのを証明しています」。
「この黄金期に関わり今回そのキャリアに終わりを告げる決断をした伝説的な選手について特別なコメントをさせてください。ルディ・フェルナンデス選手はレアル・マドリード、そして世界のバスケットボール界で偉大なるレジェンドの1人でありました。またプロバスケットボール選手としてもう1人の神話的な存在セルヒオ・ロドリゲス選手も現役を去ります」。
経営状況
「今年我々は前例のない偉業を達成しました。レアル・マドリードはサッカークラブとして初めて10億ユーロの収益を上回りました。具体的には収益10億7300万ユーロで、前年比27%という大幅な増加になります。2023-2024シーズンの財務結果はスポーツ界で最も堅実で成功しているクラブの1つとしての我々の地位を再確認するものになりました」。
資産と施設
「レアル・マドリードファンの本拠地であり、世界のサッカー界で最も象徴的で象徴的なスタジアムであるベルナベウについて話しています。我々はレアル・マドリードが5年前に自らに課した大きな課題、すなわちベルナベウを普遍的な前衛的なアイコンであり、マドリード市の建築的象徴となるという大きな課題に取り組む最終段階にあります」。
「ベルナベウがサッカーの試合を開催するライセンスすら持っていないという有害なデジタルメディアを読まなければならないというのは考えられません。コンサートの企画はクラブにとって特に儲かる活動ではありません。我々はスタジアムのレンタルに限定しており、このコンセプトからの収入は年間予算の約1% になることを知っていただきたいです」。
「そして今、私たちのスタジアムの隣にある地下駐車場についてお話しします。市議会はマドリードの最も重要な地域の1つであり、これらのインフラが最も整っていない地域にサービスを提供するには駐車スペースの3分の1を確保することが最善の方法であると理解したため、スタジアムの隣にこの駐車場を入札しました。住民にとっては非常に有利です。我々のクラブは入札に参加し、多大な努力をすることで市と協力できると判断しました。なぜなら2時間続くサッカーの試合を年間25試合プレーするには、ほぼ1億ユーロの投資が正当化されることを理解している人がいるでしょうか?」。
サッカーの現状
「私は長い間、我々の愛するスポーツが深刻な被害を受けていると警告してきました。これを示す社会的、経済的指標は数多くあります。現在ほど状況が悪化したことはありません。事実上、すべての主要リーグは非常に大きな衰退に苦しんでいます」。
「スペインクラブは危機的状況にあり、CVCでのオペレーションは状況が悪化するばかりです。悪影響の流れを止めるため必要であれば最高裁まで訴える意志があることは伝えています」。
「各国リーグがますます困難を抱えているなら、欧州大会も明るい見通しは立ちません。我々が予測するように、チャンピオンズリーグの新しい形式は、それが問題の解決策ではないことを示しました。 UEFAは試合数を増やしましたが、各試合の価値は以前よりもはるかに下がっています。そしてこの競争がファンの情熱を呼び覚ますのはシーズンの終わりだけであり、予想されるように最初からではないのです」。
「さらに、今日のサッカーでは試合カレンダーの大きな負担が選手たちの健康に悪影響を及ぼしています。この状況は彼らのパフォーマンスに影響を与えるだけでなく、飛躍的な怪我の増加にも直接的に関係しています」。
「それに合わせて言わなければならないのは、今シーズンつまりわずか3か月の間にレアル・マドリードでは14人の選手が負傷し、合計22人の負傷者が出たということです。そして我々のリーグでは、今シーズンに十字じん帯断裂の例が9回あり、そのうち2つが我々のはトップチームの選手によるものです。専門医によると、十字断裂の原因は主に疲労によるものです。試合の負荷が大きくなり、試合から試合の間の休息が少なくなると、十字じん帯のリスクが高まることが分かっています」。
「FIFAは代表ウィークを大幅に拡大し、さらにサッカー選手に必要な休暇を奪うクラブワールドカップを創設しました。 UEFAはサッカー選手の健康を無視して、主催する欧州大会で重要性のない不必要な試合の数を拡大した。そしてまたネーションズリーグという新しいトーナメントを創りました。その結果サッカー選手、クラブ、ファンといったこのスポーツの主役を考慮せずにカレンダーやフォーマットが設計され、サッカーの衰退がもたらされたのです」。
スーパーリーグ
「Unifyプラットフォームを通じてサッカーを無料で放送するというスーパーリーグの提案は、まさに革新的なものです。そして映画、ドラマ、音楽業界ですでに成功を収めているものをサッカーに応用する提案です。サンティアゴ・ベルナベウのビジョンが欧州大会の創設を促進し、FIFAとUEFAの対戦相手を破ったのと同じように、レアル・マドリードは再びその歴史に敬意を表しました」。
「我々は、選手の健康とファンの情熱と熱意の両方を優先する、管理と競争の新しいモデルを構築するまたとない機会に恵まれています。方向性を変え、サッカーを活性化させ、偉大さを取り戻す真のチャンスがここにあります。そしてそれは早ければ早いほど良いのです」。
ラ・リーガ
「リーガの運営管理者との関係で、我々は2つの根本的な問題を抱えています。それは彼らの管理における透明性と厳格さの欠如、そして彼らの我々の資産に対する継続的な攻撃です。前者に関しては、その経営における透明性の欠如が依然として非常に憂慮すべきことであることを遺憾に思います。例えば、我々が現時点で(我々が強く主張し、リーガに対して何度も要請したにもかかわらず)、例えばメディアやサッカークラブで分配する資金をリーグがどのように正当化しているのかが分からないことに我々は驚きを隠せません」。
「我々のクラブは組織として自分たちを保護するだけでなく、レアル・マドリードのオーナーとして我々全員を保護する組織構造を持たなければなりません。このクラブが 122 年の歴史の中でそうであるように、会員の一員であり続けるために必要なあらゆることを行うことに疑いの余地はありません。一言で言えば、誰も我々の経済的な遺産を奪うことができないようにするためです」。
「この目的のために、我々は明らかに私たちの将来を保証し、自分たちが受けている脅威から自身を守り、そして何よりもソシオが真のオーナーであることを保証するクラブの企業再編案を今総会に提出することを確認します。我々のクラブの、自分たちの経済的遺産の真の所有者であり、完全な権利を持っています」。
バロンドール
「ここで私はロドリに対して、彼はレアル・マドリードからの愛と評価に値すると伝えます。なぜなら、彼は間違いなくバロンドールに値する選手だったからです。ただし今年はそうではありませんでした。彼のバロンドールは昨年、チームですべてを勝ち取り、チャンピオンズリーグ決勝で決勝ゴールを決めた時のものでした」。
「今年のバロンドールはレアル・マドリードの選手に贈られるべきだったのは明らかです。個人的にはバロンドールは独立して組織されるべきであり、この賞の投票はサッカー界で認められた名声と能力を持ち、投票を公開する人々の手に委ねられるべきだと信じています」。
「このような状況において、レアル・マドリードは今回のバロンドール授賞式に出席しないことが適切であると判断しました」。
最後に
「親愛なるソシオの皆さん。我々は、サッカーや世界のスポーツのリーダーであり続けるための参考となる先人や偉人たちから学んだことを伝え続ける責任があります。団結は、普遍的な感情である情熱を夢見続けるための私たちの強さです。レアル・マドリードの一員であることは誇りです」。